過失割合
センター南 横浜都筑法律事務所

過失割合

自転車と車・右折と交差道路直進の過失割合・同幅員

同幅員の交差点

一方が右折・他方が直進の事故


自転車と車(四輪車)との間で、交差点で一方が右折し、他方が交差道路を直進していて起きた事故について、過失割合の認定基準をご案内します。

信号機がなく、一時停止規制や優先関係もない同幅員の交差点における認定基準になります。

自転車の特徴(速度など)


自転車は、普通の速度が車やバイクよりも遅く、また、免許不要で児童等も運転するなどの特徴があり、それらが車との過失割合認定基準に影響しています。

速度に関しては、自転車が普通の速度(時速15㎞程度)を大幅に超える場合(時速30㎞程度が目安)は「バイクと車」の過失割合認定基準を参考にして検討し、他方、低速の自転車(おおむね時速10㎞以下)については「歩行者」と同視し得る余地があるとされています。

自転車が直進・車が右折の場合


同幅員の交差点においては、基本過失割合は直進自転車20、右折の車80とされています。

    自転車  
      
右折    
       
     
  自転車    

  自転車
右折か直進か 直進 右折
基本過失割合 20 80





*は修正要素としない
夜間 +5  
自転車に著しい過失
    ・重過失
+5
~10
 
自転車が児童等
    ・高齢者
-5  
車が徐行なし -10  
自転車が明らかな先入 -10  
車が右折禁止違反 -10  
自転車が自転車横断帯 -10  
自転車が横断歩道 -5  
車が15㎞以上の
  速度違反
 
車が30㎞以上の
  速度違反
 
車に他の著しい過失
    ・重過失
-5
~10
 

直進自転車が右側通行の場合


下図のように、直進自転車が右側を通行し、車から見て左から交差点に進入した場合は、双方とも直進の出合い頭事故と同視してよいとされています。

  自転車    
     
  車      
右折    
       
       
       

自転車が右折・車が直進の場合


同幅員の交差点においては、基本過失割合は右折自転車30、直進の車70とされています。

     
自転車    
右折    
       
     
     

  自転車
右折か直進か 右折 直進
基本過失割合 30 70





*は修正要素としない
夜間 +5  
自転車に著しい過失
    ・重過失
+5
~10
 
自転車が児童等
    ・高齢者
-5  
車が徐行なし -10  
自転車が明らかな先入 -10  
右折禁止違反  
自転車が自転車横断帯  
自転車が横断歩道  
車が15㎞以上の
  速度違反
-10  
車が30㎞以上の
  速度違反
-20  
車に他の著しい過失
    ・重過失
-5
~10
 

過失割合の修正要素(補足)


上記の認定基準における修正要素について補足します(上記の表で「*」は修正要素としません)。

夜間

日没時から日出時までの時間をいいます。
車が無灯火の場合や、自転車から車の前照灯の照射が認識できない形状の交差点の場合は自転車の加算要素にならず、車が無灯火の場合は自転車の減算要素になるとされています。

児童等・高齢者

児童等はおおむね13歳未満、高齢者はおおむね65歳以上をいいます。

徐行なし

徐行とは、車両が直ちに停止することができるような速度で進行することです(道路交通法2条1項20号)。右左折車については、右左折車としての通常の速度を意味し、必ずしも法律上要求される徐行(同法34条1項・2項・2条1項20号)でなくてもよいとされています。

明らかな先入

通常、衝突地点、衝突部位等により明らかとなるが、双方の速度差に留意して総合的に判断する必要があるとされています。

右折禁止違反

道路標識等により禁止されている右折をすることです。

自転車横断帯

自転車が自転車横断帯を通行している場合のほか、自転車横断帯に隣接して設けられている横断歩道を通行している場合や、それ以外の自転車横断帯と同視しうる場所を通行している場合も含むとされています。

横断歩道

自転車が、自転車横断帯に隣接していない横断歩道を通行している場合が想定されています。



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このページの著者

 弁護士 滝井聡
  神奈川県弁護士会所属
    (登録番号32182)