傷害慰謝料の計算
計算は入通院の期間や日数から
精神的苦痛は目に見えるものでないため、慰謝料額は、 症状固定までの入通院の期間や日数から計算されます。
(このため、傷害慰謝料は入通院慰謝料ともいわれます)
ただし、実際にどのように慰謝料額を計算するかは、採用する基準や状況により異なります。
保険会社からの提示は低額になっているのが通常で、当事務所では増額交渉による解決事例を多数積み重ねています。
計算は入通院の期間や日数から
傷害慰謝料は、事故で傷害を負った精神的苦痛に対する慰謝料であり、民法710条に規定された「財産以外の損害」に対する賠償です。
精神的苦痛は目に見えるものでないため、慰謝料額は、症状固定までの入通院の期間や日数から計算されます。
(このため、傷害慰謝料は入通院慰謝料ともいわれます)
ただし、実際にどのように慰謝料額を計算するかは、採用する基準や状況により異なります。
保険会社からの提示は低額になっているのが通常で、当事務所では増額交渉による解決事例を多数積み重ねています。
民法710条
「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。」
このため、傷害慰謝料は弁護士基準で計算すべきこととなります。
それぞれの基準による傷害慰謝料の計算は、以下のとおりです。
弁護士基準による慰謝料計算
傷害慰謝料(入通院慰謝料)計算の弁護士基準として、日弁連交通事故相談センター東京支部(赤い本)は、通院期間と入院期間により、原則的な慰謝料額の表(別表Ⅰ)と、むち打ち症で他覚所見がない場合等の慰謝料額の表(別表Ⅱ)を設定しています。
この基準は、「裁判基準」や「赤本基準」とも呼ばれます。
例えば通院3か月(入院なし)の場合、傷害慰謝料の額は原則(別表Ⅰ)で73万円、むち打ち症で他覚所見がない場合等(別表Ⅱ)は53万円とされ、いずれも自賠責基準による傷害慰謝料の額を上回っています。
弁護士基準による傷害慰謝料の別表Ⅰ・別表Ⅱなど、具体的には以下のページに掲載しています。
慰謝料の自賠責基準と弁護士基準
自賠責基準による慰謝料計算
傷害慰謝料(入通院慰謝料)の自賠責基準による計算は、4300円に「通院・入院の実日数×2」か「治療期間」の少ない方を乗じて計算します(令和2年3月31日までに発生した事故については4200円に乗じます)。
たとえば、以下の通りです。
- 通院の実日数46日(×2=92日)、治療期間90日の場合、
4300円×90=38万7000円
- 通院の実日数44日(×2=88日)、治療期間90日の場合、
4300円×88=37万8400円
ただし、傷害に対する自賠責保険の賠償額は120万円が限度と定められており、この120万円は、治療関係費(診療費、通院費など)、休業損害、傷害慰謝料など傷害による損害の合計の限度額です。
このため、これら合計額が120万円を超えると、上記の計算方法による傷害慰謝料の全額は支払われないことになります。
任意保険基準
任意保険会社は、傷害慰謝料(入通院慰謝料)について各会社ごとに基準を設定していて、実際の賠償提示では、自賠責基準と弁護士基準の間の金額が多く見受けられます。
傷害慰謝料について、任意保険会社からの提示では計算式が示されていないことが多くあります。
また、自賠責基準による計算のまま任意保険会社から提示されることもあります。
なお、自賠責の支払限度額以下の範囲では過失割合によって以上と異なる場合があり、この点については、過失割合ページ下段に「自賠責は過失7割未満なら全額」という見出しで記載しています。
慰謝料の増額事由
交通事故の慰謝料は、加害者の故意もしくは重過失による事故の場合、増額されることがあります。例えば、ひき逃げ、酒酔い、著しいスピード違反、ことさらに信号無視などが増額事由とされています。
また、加害者に著しく不誠実な態度があった場合も、増額事由とされることがあります。
ただし、明確な基準があるわけではなく、何かあれば必ず増額事由になるわけではありません。
慰謝料の解決事例
慰謝料などの解決事例を以下のページに掲載しています。
事例①慰謝料・逸失利益など
さらに具体的には、ご相談いただけますでしょうか。
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)