通院付添費・入院付添費
付き添いの必要性で争いに
交通事故で怪我をすると、通院や入院で近親者に付き添ってもらうことがあり、その場合、通院付添費や入院付添費の賠償を加害者側へ請求します。
これに対し、付き添いの必要性はなかったとして賠償を否定する反論が保険会社から出されて、争いになることがよくあります。
付き添った人が要した時間と労力によっては、看過できない問題です。
通院付添費
通院の付添費について、弁護士基準と自賠責基準は以下のようになっています。
弁護士基準の通院付添費
弁護士基準では、通院付添費について、症状によって、または幼児などで必要と認められる場合に、被害者本人の損害として肯定され、1日につき3300円(ただし事情に応じて増額を考慮することがある)とされています。
自賠責基準の通院付添費
自賠責基準では、通院付添費について、医師が看護の必要性を認めた場合に、誰が付き添ったかによって次のとおりです。
- 厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介所の紹介による者
→立証資料等により必要かつ妥当な実費とする。
- 近親者等
→1日につき2100円(令和2年3月31日以前の事故では2050円)。
ただし、12歳以下の子供の通院等に近親者等が付き添った場合には、医師の証明は要しないこととされています。
入院付添費
入院の付添費について、弁護士基準と自賠責基準は以下のようになっています。
弁護士基準の入院付添費
弁護士基準では、入院付添費について、医師の指示または受傷の程度、被害者の年齢等により必要があれば、職業付添人の部分には実費全額、近親者付添人は1日につき6500円が被害者本人の損害として認められるとされています。
ただし、症状の程度により、また、被害者が幼児、児童である場合には、1割~3割の範囲で増額を考慮することがあります。
自賠責基準の入院付添費
自賠責基準の入院付添費は、原則として、12歳以下の子供に近親者等が付き添った場合に、1日につき4200円です(令和2年3月31日以前の事故では4100円)。
付き添いの必要性の争い
通院や入院の付添費用について、基準としては以上のとおり設けられていますが、示談交渉では、付き添いの必要性はなかったという反論が保険会社から出されることがよくあります。
例えば、入院について、病院では完全看護体制が整っているため、近親者が付き添う必要はなかったという反論が見受けられます。
入院時・退院時・手術の付き添いほかは、医師から付き添いの指示があった場合や、通院については自力で病院への行き来ができなかった場合などに、付添費の賠償が認められやすい傾向にあるといえます。
そのような休業損害については、立証資料等により上記の付添費の額を超えることが明らかな場合には、必要かつ相当な範囲で支払われることとされています。
さらに具体的には、ご相談いただけますでしょうか。
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)