治療の注意点
打撲など軽傷でも注意を
交通事故の治療期間中について
交通事故で怪我をした場合の治療は、その怪我を治すという本来的な目的がありますが、さらに、症状・検査・診断等の経過が慰謝料などの賠償に影響するという観点が加わります。
交通事故の治療期間中は、適正な慰謝料などの賠償を獲得するために、たとえ打撲などの軽傷であっても注意することがあります。
治療を早期に開始する
救急車で病院へ搬送されればそのときから治療は開始しますが、病院へ搬送されるほどでなかった場合、ご自分で病院へ行かなければ治療は始まりません。
打撲など軽傷のときは、ご自分では病院へ行くほどではないと感じることもありますが、実はちゃんとした治療を要することがあります。
治療期間中の症状・検査・診断等の記録を残して慰謝料など損害賠償の資料を得るためにも、治療を早期に開始することをおすすめします。
自覚症状を漏らさず告げる
治療期間中、怪我の自覚症状について医師に漏らさず告げ、漏らさず診断書やカルテ等に記載してもらうことは、とても重要です。
ところが、治療中期間に自覚症状を告げるうえでは、実際には細心の注意が必要となることがあります。
例えば、手の痺れが複数箇所あって、それぞれ異なる神経による痺れでも、強く痺れているほうだけ告げてしまうことがあります。
他の箇所の痺れは、医師に告げるまで記録されず、そのことが後の損害賠償に影響することがあり得ます。
神経学的検査や画像検査を受ける
交通事故による怪我について、医師による神経学的検査や画像検査(MRI等)は、適切な治療に役立つのみならず、後遺障害認定や損害賠償の資料としても重要になります。
これらが欠けていると、軽い怪我とみられることがあり、必要性の低い処置や同じような薬の処方、マッサージばかりのリハビリなど漫然とした治療が続けられると、保険会社から治療費の打ち切りを早められることもあります。
このため、定期的な神経学的検査や、的確な画像検査を医師に要請する(画像撮影の機器がない場合は他の医療機関を紹介してもらう)ことをおすすめします。
むちうちの受傷をしたときの神経学的検査やMRIについて、以下のページをご参照いただければと思います。
治療について医師の指示に従う
治療については、症状固定までの治療期間中、医師から、次の受診の時期やリハビリ等について指示が出されることがあります。
その指示に従わなかった場合、治療の必要性の有無について判断材料とされる可能性があります。
治療と損害賠償の両方の観点から、医師の指示に従うのが得策です。
医師と保険会社の見解が異なることも
治療の必要性・相当性や症状固定の時期について、医師と保険会社の見解が異なることもあります。
そのような事態に備えるためにも、弁護士に早めにご相談なさることをおすすめします。
このページの著者

弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)