高速道路のバイクと車・車線変更の過失割合
車線変更車に重い基本過失割合
高速道路上のバイクと車(四輪車)の間で、車線変更車と後続直進車の事故が場合について、過失割合の認定基準をご案内します。
車線変更については、後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、車線変更をしてはならないとされています(道路交通法75条の2の3、26条の2第2項)。
このため、車線変更車の方に重い基本過失割合が設けられ、ただし、後続直進車に速度違反があれば修正することとし、その他の個別事情による修正も設定されています。
車線変更が車かバイクかで異なる
過失割合の類型としては、車線変更をしたのが車かバイクかで異なり、それぞれ車線変更のパターンとして、①走行車線→追越車線、②追越車線→走行車線、③走行車線→走行車線(片側3車線以上の場合)に区分され、基本的な過失割合は車が車線変更をした場合のほうが大きいものとされています。
車が車線変更
①車が走行車線→追越車線へ車線変更
バイク | 車 | ||
走行態様 | 後続直進 | 車線変更 | |
基本過失割合 | 10 | 90 | |
修 正 要 素 |
車の合図 なし又は遅れ |
-10 | |
進路変更 禁止区間 |
-10 | ||
車に他の 著しい過失 ・重過失 |
-10 | ||
バイクに 速度違反 |
+10 ~20 |
||
分岐点・ 出入口付近 |
+10 | ||
バイクがゼブラ ゾーン走行 |
+20 | ||
バイクに他の 著しい過失 ・重過失 |
+10 ~20 |
②車が追越車線→走行車線へ車線変更
バイク | 車 | ||
走行態様 | 後続直進 | 車線変更 | |
基本過失割合 | 20 | 80 | |
修 正 要 素 |
車の合図 なし又は遅れ |
-10 | |
進路変更 禁止区間 |
-10 | ||
車に他の 著しい過失 ・重過失 |
-10 | ||
バイクに 速度違反 |
+10 ~20 |
||
分岐点・ 出入口付近 |
+10 | ||
バイクがゼブラ ゾーン走行 |
+20 | ||
バイクに他の 著しい過失 ・重過失 |
+10 ~20 |
③車が走行車線→走行車線へ車線変更
(片側3車線以上の場合)
バイク | 車 | ||
走行態様 | 後続直進 | 車線変更 | |
基本過失割合 | 20 | 80 | |
修 正 要 素 |
車の合図 なし又は遅れ |
-10 | |
進路変更 禁止区間 |
-10 | ||
車に他の 著しい過失 ・重過失 |
-10 | ||
バイクに 速度違反 |
+10 ~20 |
||
分岐点・ 出入口付近 |
+10 | ||
バイクがゼブラ ゾーン走行 |
+20 | ||
バイクに他の 著しい過失 ・重過失 |
+10 ~20 |
バイクが車線変更
①バイクが走行車線→追越車線へ車線変更
車 | バイク | ||
走行態様 | 後続直進 | 車線変更 | |
基本過失割合 | 30 | 70 | |
修 正 要 素 |
バイクの合図 なし又は遅れ |
-10 | |
車が初心者 マーク等 |
-10 | ||
進路変更 禁止区間 |
-10 | ||
バイクに他の 著しい過失 ・重過失 |
-10 ~20 |
||
車に 速度違反 |
+10 ~20 |
||
分岐点・ 出入口付近 |
+10 | ||
車がゼブラ ゾーン走行 |
+20 | ||
車に他の 著しい過失 ・重過失 |
+10 ~20 |
②バイクが追越車線→走行車線へ車線変更
車 | バイク | ||
走行態様 | 後続直進 | 車線変更 | |
基本過失割合 | 40 | 60 | |
修 正 要 素 |
バイクの合図 なし又は遅れ |
-10 | |
車が初心者 マーク等 |
-10 | ||
進路変更 禁止区間 |
-10 | ||
バイクに他の 著しい過失 ・重過失 |
-10 ~20 |
||
車に 速度違反 |
+10 ~20 |
||
分岐点・ 出入口付近 |
+10 | ||
車がゼブラ ゾーン走行 |
+20 | ||
車に他の 著しい過失 ・重過失 |
+10 ~20 |
③バイクが走行車線→走行車線へ車線変更
(片側3車線以上の場合)
車 | バイク | ||
走行態様 | 後続直進 | 車線変更 | |
基本過失割合 | 40 | 60 | |
修 正 要 素 |
バイクの合図 なし又は遅れ |
-10 | |
車が初心者 マーク等 |
-10 | ||
進路変更 禁止区間 |
-10 | ||
バイクに他の 著しい過失 ・重過失 |
-10 ~20 |
||
車に 速度違反 |
+10 ~20 |
||
分岐点・ 出入口付近 |
+10 | ||
車がゼブラ ゾーン走行 |
+20 | ||
車に他の 著しい過失 ・重過失 |
+10 ~20 |
速度違反と著しい過失・重過失
高速道路上における過失割合の修正要素のうち、速度違反と著しい過失・重過失についてご説明します。
速度違反
原則として、以下を目安として、この範囲で修正を加えることとされています。
- 時速20㎞以上40㎞未満の速度違反=10%加算
- 時速40㎞以上の速度違反=20%加算
著しい過失
著しい過失の例として、以下のことなどが挙げられています(事故と相当因果関係がある場合に考慮されます)。
- 酒気帯び運転(血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上にアルコールを保有する状態)
- 脇見運転等著しい前方不注視
- 著しいハンドル・ブレーキ操作不適切
- 携帯電話等の無線通話装置を通話のため使用したり、画像を注視したりしながら運転
重過失
重過失の例として、以下のことなどが挙げられています(事故と相当因果関係がある場合に考慮されます)。
- 酒酔い運転(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態)
- 居眠り運転
- 無免許運転
- 過労、病気及び薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある場合
- バイクのヘルメット不着用
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