過失割合
センター南 横浜都筑法律事務所

過失割合

追突と急ブレーキの過失割合・車同士

急ブレーキには過失あり

道路交通法24条違反のとき


追突の過失割合は、追突した側が100%、追突された側は0%とされるのが通常です。

しかし、それは、追突された側が、赤信号、渋滞、一時停止規制などで停止中だった、通常の追突事故についてです。

追突された側も、道路交通法24条に違反して急ブレーキをかけて追突されたときには過失ありとされています。


急ブレーキで追突の過失割合


道路交通法24条は、次のとおり規定しています。

道路交通法24条(急ブレーキの禁止)

「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。」

追突された側が、この道路交通法24条に違反して、危険を防止するためやむを得ないという事情がないのに急ブレーキをかけ、それによって後続車が追突した場合、過失割合の認定基準は以下のとおりとされています。

急ブレーキ
車B
車A

   車A 車B
走行態様 追突 急ブレ
ーキ 
基本過失割合 70 30
修正要素  住宅街・商店街等 +10
 
Aが15㎞以上速度違反 +10
 
Aが30㎞以上速度違反 +20
 
Aに他の著しい過失  +10  
Aに他の重過失  +20  
修正要素 Bが幹線道路の
  走行車線上停止
-10  
Bの制動灯故障  -10
~20
 
Bに著しい過失  -10  
Bに重過失  -20  

追突事故の修正要素(補足)


上記の認定基準における修正要素について補足します。

住宅街・商店街等

人の横断・通行が激しいか頻繁に予測される場所が想定され、工場、官庁街等における出退社の時刻、オフィス街の小路、夜の盛り場、生活ゾーン、スクールゾーンも同様とされています。
人通りの絶えた深夜の住宅街・商店街等や、郊外の道路沿いに周囲と間隔を空けて住宅・商店街がある場合は含まれません。

幹線道路

歩車道の区別があって、車道幅員がおおむね14m以上(片側2車線以上)で、車両が高速で走行し、通行量の多い国道や一部の都道府県道が想定されています。

制動灯故障

制動灯が故障して点灯しない場合のほか、泥による汚れ等のために法定の照度がない場合や、夜間にテールランプが点灯していない場合等も含めてよいとされています。
また、被追突車に道路交通法24違反に至らない程度のブレーキ操作の過失(後述)がある場合も、昼夜の別等により、被追突車の制動灯故障について10~20%の過失を肯定してよいとされています。

著しい過失・重過失

以下のページでご説明しています。
 著しい過失・重過失    

24条違反に至らないブレーキ操作の過失

被追突車に、道路交通法24条違反に至らない程度のブレーキの不必要・不確実な操作等の過失がある場合には、過失割合を上記の認定基準において被追突車に10%程度有利に修正するのが相当とされています。


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このページの著者

 弁護士 滝井聡
  神奈川県弁護士会所属
    (登録番号32182)