基本過失割合②バイクと車
バイクと車の事故の基本過失割合
交通事故の過失割合のうち、バイク(二輪車)と車(四輪車)の事故の基本過失割合について、東京地方裁判所民事交通訴訟研究会編「別冊判例タイムズ」が設けている基準を抜粋してご紹介します。
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- 「過失割合認定基準(修正要素含む)」では、基本過失割合とその修正の認定基準ページへ移動します。
交差点
直進同士・出合い頭の基本過失割合
1 信号機あり
- Aバイク・B車のとき
- A青信号:B赤信号=0:100
A赤信号:B青信号=100:0
A黄信号:B赤信号=10:90
A赤信号:B黄信号=70:30
A赤信号:B赤信号=40:60
2 信号機なし
- 双方が同幅員の道路
- Aバイク左方・B車右方のとき
- 同速度なら30:70
A減速:B減速せず=15:85
A減速せず:B減速=45:55
- Aバイク右方・B車左方のとき
- 同速度なら50:50
A減速:B減速せず=35:65
A減速せず:B減速=60:40
- 一方が明らかに広い道路
- Aバイク広路・B車狭路のとき
- 同速度なら20:80
A減速:B減速せず=10:90
A減速せず:B減速=30:70
- Aバイク狭路・B車広路のとき
- 同速度なら60:40
A減速:B減速せず=50:50
A減速せず:B減速=75:25
- 一方に一時停止規制
- Aバイク一時停止なし・B車一時停止ありのとき
- 同速度なら15:85
- A減速:B減速せず=10:90
A減速せず:B減速=25:75
B車一時停止=35:65
- Aバイク一時停止あり・B車一時停止なしのとき
- 同速度なら65:35
A減速:B減速せず=55:45
A減速せず:B減速=80:20
Aバイク一時停止=45:55
- 一方が優先道路
- Aバイク・B車のとき
- A優先道路:B非優先道路=10:90
A非優先道路:B優先道路=70:30
- 一方通行違反がある場合
- Aバイク・B車のとき
- A無違反:B一方通行違反=10:90
A一方通行違反:B無違反=70:30
交差点
右折車と直進車の基本過失割合
1 同一道路を対向方向から進入
(1)信号機あり
- Aバイク直進・B車右折のとき
- A青信号:B青信号=15:85
A黄信号:B黄信号=30:70
A赤信号:B赤信号=40:60
A赤信号:B青矢印信号=100:0
- A黄信号:B青信号で進入したあと黄信号で右折=60:40
A赤信号:B青信号で進入したあと赤信号で右折=80:20
A赤信号:B黄信号で進入したあと赤信号で右折=60:40
- Aバイク右折・B車直進のとき
- A青信号:B青信号=70:30
A黄信号:B黄信号=50:50
A赤信号:B赤信号=40:60
A青矢印信号:B赤信号=0:100
- A青信号で進入したあと黄信号で右折:B黄信号=25:75
- A青信号で進入したあと赤信号で右折:B赤信号=10:90
A黄信号で進入したあと赤信号で右折:B赤信号=20:80
(2)信号機なし
- Aバイク・B車のとき
- A直進:B右折=15:85
A右折:B直進=70:30
2 それぞれ交差する道路から進入
(1)信号機あり
- 直進同士の出合い頭事故の基準をバイク側に10%程度有利に修正して適用。
(2)信号機なし
- 双方が同幅員の道路
- Aバイク直進・B車右折のとき
- A右方:B左方=30:70
A左方:B右方=20:80
- Aバイク右折・B車直進のとき
A左方:B右方=50:50
A右方:B左方=60:40
- 一方が明らかに広い道路
- Aバイク直進・B車右折のとき
- A広路:B狭路から広路へ
- =15:85
A狭路:B広路からバイクの来た狭路へ - =50:50
A狭路:B広路からバイクの向かう狭路へ - =40:60
- Aバイク右折・B車直進のとき
- A狭路から広路へ:B広路
- =65:35
A広路から車の来た狭路へ:B狭路 - =30:70
A広路から車の向かう狭路へ:B狭路 - =40:60
- 一方に一時停止規制
- Aバイク一時停止あり・B車一時停止なしのとき
- A直進:B右方右折=45:55
A直進:B左方右折=55:45
A右折:B直進:65:35
- Aバイク一時停止なし・B車一時停止ありのとき
A右方右折:B直進=35:65
A左方右折:B直進=25:75
A直進:B右折=15:85
- 一方が優先道路
- Aバイク直進・B車右折のとき
- A優先道路:B非優先道路から優先道路へ
- =10:90
A非優先道路:B優先道路からバイクの来た非優先道路へ - =60:40
A非優先道路:B優先道路からバイクの向かう非優先道路へ - =50:50
- Aバイク右折・B車直進のとき
A非優先道路から優先道路へ:B優先道路 - =70:30
A優先道路から車の来た非優先道路へ:B非優先道路 - =20:80
A優先道路から車の向かう非優先道路へ:B非優先道路 - =30:70
交差点
左折車と直進車の基本過失割合
- Aバイク・B車のとき
- A後続直進:B先行左折=20:80
- A先行直進:B追越左折=10:90
- A先行左折:B後続直進=60:40
- A追越左折:B先行直進=80:20
追突の基本過失割合
1 追突一般
バイクが追突:追突された車=100:0
車が追突:追突されたバイク=100:0
2 被追突車に道交法24条違反
バイクが追突:被追突車が道交法24条違反
=60:40
車が追突:被追突バイクが道交法24条違反
=80:20
- 道交法24条(急ブレーキの禁止)
- 「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。」
進路変更車と後続直進車の基本過失割合
後続直進バイク:進路変更車=20:80
進路変更バイク:後続直進車=60:40
ドア開放事故の基本過失割合
後続バイク:ドア開放車=10:90
道路外出入車と直進車の基本過失割合
- Aバイク・B車のとき
- A道路直進:B道路外から道路へ
- =10:90
- A道路外から道路へ:B道路直進
- =70:30
- A道路直進:B対向車線から道路外へ右折
- =10:90
対向・センターオーバーの基本過失割合
- 左側部分通行:センターオーバー
- =0:100
個別事情による修正
以上それぞれの基本過失割合は、個別の態様・状況や、著しい過失・重過失などによる修正が設けられています。修正要素や修正の適否は、類型によって様々です。
その例として、進路変更車と後続直進車の場合、一時停止規制がある場合と、著しい過失・重過失の意味等について、以下の各リンク先のページに掲載しています。
過失割合の冒頭ページや、他の基本過失割合の各ページへ、それぞれ以下のリンクから移動できます。